書くことがついに昨日の三日月に届く クジラがはねる海原
あの夏の拾い損ねたおはじきがためてるはずの葉擦れのひかり
神はいて雨垂れとなり軒下の何の変哲もない石畳をえぐる
こころとは見えぬ虚空の水仙の夏の没日に逃げ惑う蝶
桜には桜の王がいるという嘘を子どもについちゃいけない
音韻にまみれしころの身体は山桃だった盲目だった
ジュスティーヌ 神のおはじき遊びにはかなしき水面の笑みを浮かべぬ
ジュリエット 夢のコルセットのために費やしたりし金貨の数は
樹はつねに水をその身にはしらせてなつの死霊をみまもるという
紀の川は身をまふたつに裂かれたる罪人のごとき支流を持つや
歌は石でも雲でもなくて校庭のすみれの空を刺すのぼり棒
あなたいま声明を口にしていたわ ルリボシカミキリだけで見ていたわ
からだからしみでる雨のかなしさをあなたに告げた葉桜の下
欲望の『よだかの星』をきんいろのゆうべのあかりに読み聞かせたい
花水木 お前にこころがあるのなら食われた鰈の稚魚のために泣け
2014/4/18
(この5月に大阪阿倍野の未来の批評会に参加。外部参加者も歌を出して評を受ける会とは知らかったけれどこの一連のうち最後から二首目の「欲望の」の歌を提出。やっぱり歌意が不明瞭なのであまり評ははずまなかったですね。批評会はおもしろかったです。)
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